柿は秋を代表するフルーツです。渋味もあるので苦手な方もいますが、今では品種改良がすすみ、甘くて美味しい柿がたくさん出回っています。
また、生で食べる以外でも、料理にとても役立つ食材。さらに美容にも良いので、女性にとっても普段から食べておきたいフルーツの一つ。
そこで今回は、柿はどんなフルーツなのか、歴史や品種、美味しい柿の見分け方や保存方法、レシピまで、あますことなくご紹介していきます。
柿はどんなフルーツ?
柿は、カキノキ科カキノキ属の落葉高木または低木の果実です。山地に自生しますが、日本の気候に合っているためか古くから栽培されています。
「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」という正岡子規の有名な俳句にも登場するように、柿は俳句の季語にもなっており、日本の風土に根付いた秋を代表する果物です。
日本では沖縄県を除く全都道府県で栽培・出荷されており、柿の栽培面積、収穫量ともに多い県は1位が和歌山県。そして奈良県、福岡県、岐阜県、愛知県と続きます。
品種によって異なりますが、主に9~12月に旬を迎え、10~11月にはもっとも多くの品種が店頭に並びます。
柿の歴史!柿は日本古来より存在していた?
柿は古来より日本人と深い関係がありました。原産地は中国や日本、朝鮮半島など諸説ありますが、柿は人類が誕生する前から存在したとされており、日本では縄文、弥生時代の遺跡からは種が出土しているなど、とても古くから食用されていたのではと考えられています。
そして古事記や日本書紀に柿の名前が記されていることから、今のような大きな柿は、奈良時代に仏教を通じて中国から渡来したとされています。
当時の柿は渋柿なので、熟柿や干し柿として利用されていました。主に祭祀用に使われていましたが、甘いものがほとんどない時代に、栄養価の高い甘いものはとても貴重で、冬場の糖分補給としての重要な役割も果たしていました。
本格的に栽培が始まったのは鎌倉時代頃から。甘柿が誕生し、日本固有の柿で、世界最古の完全甘柿といわれていす。そして江戸時代に入ると次々に品種が改良され、明治時代から農産物として広く普及したのです。
また、日本の柿は江戸時代後期にヨーロッパへ、明治時代前期に北アメリカへと伝わり、学名にも和名の発音と同じ「kaki」の名前が使われており、海外ではそのまま「kaki」と呼ばれています。
柿の品種!渋柿と甘柿?どんな種類の柿があるの?
柿の品種は多く、1000を超えるともいわれています。その中で日本で品種登録されているのは66品種、登録維持されているものは23品種あります(2019年10月時点)。
まず、柿は甘柿(あまがき)と渋柿(しぶがき)に大きく分かれており、甘柿の代表的な品種には「富有」「次郎」「太秋(たいしゅう)」「西村早生(にしむらわせ)」、渋柿は「刀根早生(とねわせ)」「平核無(ひらたねなし)」「西条」「蜂屋」などがあります。
それぞれ詳しくみてみましょう。
甘柿(あまがき)はどうして甘いの?代表的な4品種紹介
渋味のない、普段私たちが美味しく食べている柿のほとんどは甘柿になりますが、柿はもともと渋みの残る渋柿しかなく、甘柿は、渋柿から突然変異で生まれたものだと考えられています。
未熟な時は渋みがありますが、熟すにつれて自然と渋が抜け、甘味が増していきます。
柿には渋みの成分であるタンニン(シブオール)が含まれていますが、甘柿に含まれているタンニンは水に溶けない不溶性の性質を持っています。
そのため、口に入れたときに渋みが溶けだすことがなく、甘さを強く感じることができるのです。
つまり甘柿とは、突然変異によってタンニンの性質が変わった柿なのです。そして日本独自の品種として定着させ、世界の各地で、日本起源の甘柿が栽培されるようになっています。
また、甘柿には成熟すると渋みがなくなり、つねに甘味を感じることのできる完全甘柿と、種子の有無や量によって渋みの残る不完全甘柿の二つに分かれています。
富有柿(旬:10月下旬~11月下旬)
岐阜県原産で、主な産地は奈良県、岐阜県。晩生種(おくてしゅ)の代表的な完全甘柿の一種で、全国の柿の生産量の60パーを占めており、甘柿の王様とも呼ばれています。
皮に光沢があり、丸に近い四角形をしています。なめらかで甘味が強く、ジューシーでとろけるような柔らかさがあるのが特徴です。
次郎(旬:10月下旬)
静岡原産で、主な産地は愛媛県、静岡県。江戸時代から栽培される晩生種(おくてしゅ)の完全甘柿。
四角張った形で、果肉はややかたく果汁も少なめ。「富有はあごで食べ、次郎は歯で食べる」と富有柿と比較されることが多く、歯ごたえを楽しむことができる柿です。
太秋(旬:10月上旬~11中旬)
富有柿をベースに「次郎」と「興津15号」を掛け合わせてうまれ、1995年に品種登録された完全甘柿です。主な産地は熊本県、福岡県。
大きなものは500gを超えるものがあり、サイズが大きくサクサクとした食感が特徴。果汁がとても多くジューシーで、糖度も17~18度と高く、甘味の強い柿です。
西村早生(旬:9月上旬~10月上旬)
滋賀県大津市の西村弥蔵さんのかき園の生垣内で発見された柿で、「富有」と「赤柿」との自然交雑で生まれたといわれており、1960年に「西村早生(にしむらわせ)」と名付けられました。主な産地は、福岡県、岐阜県、鹿児島県。
9月上旬から食べることのできる早生種(わせしゅ)で、もっとも早く熟す柿として人気が集まり、全国各地で栽培されるように。
西村早生は不完全甘柿で、種が多いほど果肉に黒い斑点(ゴマ)ができ、種が4つ程度入ると渋みが抜け、甘くなります。
生育条件などにより渋が残ることがありますが、現在では甘渋判定機というものによってチェックすることができるため、渋い柿にあたることはほぼありません。
果実は220gほどの大きさ。果肉はかためで果汁は少なく、粘り気が強いのが特徴。カリカリした食感があり、さっぱりした味を楽しむことができます。
渋柿(しぶがき)はどうして渋いの?代表的な4品種紹介
渋柿はその名の通り渋みのある柿のこと。柿の渋味はタンニンという成分によるものですが、渋柿に含まれているタンニンは水に溶ける水溶性のため、渋柿をそのまま食べるとタンニンが口の中で溶けだし、渋味を感じます。
そのため、干し柿などに加工されるか、炭酸ガスなどを使って渋抜きをし、生食用として出荷されます。
刀根早生(旬:8月上旬~10月上旬)
刀根早生(とねわせ)は、次にご紹介する平核無の変種で、1980年(昭和55年)に登録された渋柿です。見た目は少し大きめですが扁平で四角に角ばっていて種がなく、ほとんど同じ形をしています。早生種(わせしゅ)の中では日持ちが良い品種。主な産地は和歌山県、奈良県。
果肉はほどよいかたさがあり、ジューシー。まったりとした甘味を楽しむことができます。
平核無(旬:10月中旬~11月上旬
新潟県原産の柿で、平核無とかいて「ひらたねなし」と読み、平たくて種のない柿という意味があります。種なし柿として知られている品種です。主な産地は山形県、和歌山県、新潟県。
山形では庄内柿、新潟では八珍など、地方ごとの呼び名やブランド名がある渋柿です。種がないので食べやすく、柔らかい肉質。果汁が多くジューシーで、まろやかな甘さがあります。
生食のほか、干し柿用としても人気のある品種です。
西条(旬:10月上旬~11月上旬)
西条(さいじょう)は広島県の西条が原産といわれ、中国地方で作られてきた渋柿です。主な産地は島根県、岡山県、鳥取県。形は細長く、4つの溝があります。
ほどよい固さで、渋抜きすると上品な甘さに。干し柿としても美味しく人気があります。
蜂屋(旬:10月下旬~12月上旬)
岐阜県美濃加茂市蜂屋町で古く作られてきたことから、蜂屋(はちや)柿と呼ばれるようになりました。主な産地は福島県、長野県、宮城県、岐阜県。
大玉で先の尖った形をしていて、一部種の入っているものもあります。干し柿の材料としてもっとも美味しい品種の一つとされており、岐阜県美濃加茂市で作られた干し柿は「堂上蜂屋柿」、福島県では「あんぽ柿」として出荷され、干し柿として全国的に有名です。
イスラエル産の渋柿!?シャロンフルーツとは
珍しい輸入ものの柿に、シャロンフルーツというものがあります。これは品種名ではなく、イスラエル産渋柿の登録商標です。
収穫時期は日本と同じく10~11月頃ですが、収穫後に渋抜きしてから出荷され、船便で1か月ほどかけて輸送されるため、市場に出回るの1月中旬~2月中旬頃になります。
日本の柿より小さめで甘味が強く、種が無く皮が薄いので、洗って切らずにそのまま食べることができます。欧米でも人気が高く、アイスクリームやヨーグルトと一緒に食べたり、サラダにするなどさまざまな食べ方で楽しまれています。
日本の柿とはまた違った美味しさを感じることができるので、見かけたらぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
一度は食べてみたい高級柿4種紹介!
では次に、高級柿について見てみましょう。
同じ品種でも厳しい基準を合格したブランド柿や、手に入れること自体が難しい希少な柿など、一度は食べてみたい柿4種をご紹介します。
天下富舞(てんかふぶ)
名前から高級そうな感じのする天下富舞は、岐阜県のオリジナルブランド。ねおスイートという品種の一種で、一つ一つ厳格な検査を行い、JA全農岐阜の認定を受けた柿だけに「天下富舞」の認証シールが貼られます。
非常に糖度が高く、一般の柿が糖度16度前後なのに対し、天下富舞は平均20度。果頂部(かちょうぶ)では23度以上にもなり、他の果物と比較してもトップレベル。とろけるような甘さと、梨のようなサクサクとした、歯ざわりの良い食感が特徴的な完全甘柿です。
「天下人」(糖度25度以上)、「大将」(糖度20度以上)、「武士(もののふ)」(糖度18度以上)の、3つの等級に格付けされており、ランクの高いものになると3個入りで1万円以上はする高級品ですが、ものによっては1個千円前後から購入が可能です。
初物だと2玉で54万円もの値がついたこともある、まさに高級柿の代表ブランドといえます。
シンデレラ太秋(たいしゅう)
人気が高い熊本の「太秋柿」の中でも、「福馬果樹園」産の糖度20度前後の高品質柿だけが「シンデレラ太秋」という名前で呼ばれます。
一般的に太秋柿は、袋をかけて露地栽培されますが、シンデレラ太秋は紫外線を通すハウスで無袋で育てられています。サクサクした食感、みずみずしい味わい、糖度20度前後の強い甘みがあり、際立つ味の良さで人気があります。
値段は1個2000円前後、大きいもだと1個5000円にもなる高級柿。
「条紋(じょうもん)」と呼ばれるひびの模様があり、見た目がいまひとつ、ともいわれていますが、くっきりとあらわれている条紋は美味しい柿の証。1度食べると虜になってしまう、丹精込めて作られた高品質の柿です。
みしらず柿
福島県には、天正年間から500年の歴史を持つ、会津の「みしらず柿」という高級柿があります。
「身の程を知らずほどたくさんの実をつける」ことや、「あまりの美味しさに我を忘れて食べ過ぎてしまう」ことがこの名前の由来とされており、毎年秋になると天皇家へ献上される「献上柿」としても知られています。
もともと渋柿なので、収穫後すぐには食べられませんが、焼酎で2週間程度渋抜きすることによって、渋が抜けてとろけるように甘い柿に。一般的な柿よりも大粒で、重みがあります。
一度食べたら普通の品種の柿は食べれないというリピーターも。1玉数百円のものから、高いものでも千円前後と、比較的リーズナブルなので、ぜひ味わってみてください。
吉美人(きちびじん)
先ほどご紹介した、福島県の特産品である「みしらず柿」をさらに美味しい柿にするために改良され、誕生したのが「吉美人」です。
早めの摘蕾摘花で実の数を制限し、大きな果実にしています。渋柿なので渋抜きをしますが、渋を抜くアルコールもサトウキビとマンゴーを使ったハニーゴールドと呼ばれる特別な物を使い、高度な技術を用いてとろけるような甘さを出しています。
みしらず柿の中でも、ブランド柿「吉美人」に選ばれるのはわずか30%。その中でも最高級の7Lサイズのものは1本に1個しか実らないといわれ、その値段も1玉5000円以上。それ以外のものだと1個1000円前後から購入することができます。
柿嫌いの方でもリピーターになるといわれている吉美人。完熟のトロ味と芳醇な風味を味わってみてください。
柿の栄養!医者が青くなるのはなぜ?
柿が赤くなれば医者が青くなるといわれるのは、ビタミンC、A、K、B1、B2と、天然の総合ビタミン剤と呼ばれるくらいビタミン豊富で、栄養価が高いため。
主な栄養素と期待される効果は、以下の通りです。
- 風邪予防…ビタミンA・C
- 免疫機能向上…βカロテン
- 整腸作用…ペクチン
- 美肌作用…ビタミンC、タンニン
- がん抑制…リコピン
- 高血圧予防…カリウム
他にもさまざまな栄養素が含まれており、秋から冬の季節の変わり目の、体調を崩しやすい時期に食べておきたいフルーツといえます。
美容だけでなく病気や風邪予防にも!
柿に多く含まれているビタミンCは、100gあたり70mgでみかんの含有量の約2倍。一般的なサイズの柿半分(120g前後)で1日の摂取水晶量(100mg)を摂取することができます。
ビタミンCには強い抗酸化作用があり、紫外線やストレスなどにより発生する活性酸素を除去し、体が酸化することを防いでくれるため、美肌やアンチエイジングに効果があるとされています。
また、免疫力高める効果もあり、同じく柿に含まれているβ-カロテンとの相乗効果で、ウイルスや細菌に対する抵抗力を強めて粘膜を強化し、風邪予防や病気予防にも効果的。まさに、医者が青くなるといわれるのも納得です。
柿は二日酔いに効く?渋いタンニンの効果
柿は昔から二日酔いに良いといわれています。それは、柿に含まれているタンニンには、アルコール成分を分解する力があるため。タンニンはポリフェノールの一種で、柿の渋や緑茶に含まれている苦み成分です。
抗酸化作用があり、生活習慣病予防に有効であるほか、下痢をとめたり、腸のけいれんを抑える働きもあり、とても健康効果の高い成分だといえます。
また、柿に含まれているカリウムには利尿作用があり、タンニンが体内に蓄積されたアルコール成分を分解し、カリウムが尿として排出してくれるため、ダブルの効果で二日酔いの症状を緩和してくれるのです。
ついついお酒を飲みすぎたら、翌朝に食べてみましょう。
むくみを防いでキレイに痩せる
女性に多い悩みの一つにむくみがありますが、柿にはむくみを解消させる栄養分の一つ、カリウムが多く含まれています。
すぐにむくみが解消できるわけではありませんが、続けて食べることで少しずつ効果がでてきます。ちなみに、干し柿の方が4倍のカリウムが含まれているため、むくみが気になる方は、干し柿の方がおすすめです。
また、肌荒れの原因につながる便秘を改善するペクチンも含まれており、腸内環境を整え、体内の老廃物を取り除くことでキレイに痩せることができるのです。
柿の皮や葉にも栄養素がいっぱい!捨てずに利用しよう
柿の皮には実よりも栄養があり、ビタミンCやβカロテン、食物繊維やミネラルが多く含まれています。剥いて捨ててしまわずに、カラカラになるまで天日干しにしてみましょう。
甘味が付くので砂糖の量を控えたいときなどに、刻んで煮物に入れたり、ミキサーなどで粉にすると、料理やお菓子作りに幅広く使えます。お湯を注いで入れてほんのりあまい柿の皮茶を飲むのもおすすめです。
また、スーパーで購入するときなどは葉っぱはついていないものですが、家に柿の木がある方や、葉っぱつきのものを頂いたときは、柿の葉も捨てずに使ってみましょう。
柿の葉にもタンニンが多く含まれており、防腐剤として利用することができます。柿の葉ずしなどで利用するのはこのためで、昔から食品を保存する方法として使われてきました。
また、新芽はほのかに甘くて栄養たっぷり、天ぷらとして食べることもできるのです。
柿の葉の塩漬け
用意するもの
- 柿の葉(適宜)
- 塩(適宜)
- 酢(小さじ1/2)
1.若い葉を摘み、流水でよく汚れを落とす
2.同じくらいの大きさの葉を10ずつ束ねる
3.水を張ったバットに2をいれ、皿などで重しをする
4.水の量の25%の塩をお湯に溶かせて冷ます。
5.2に冷ました塩水を注ぎ、酢を2,3滴たらす
6.しんなりしたら(4日ほど)できあがり
柿の葉の塩漬けは約3か月保存が可能です。柿の葉寿司作りにぜひ挑戦してみてください。小さい葉は料理の付け合わせに使えます。
余った時は、カラカラに天日干しにして細かく刻み、お湯を注いで柿の葉茶として利用して下さい。
柿の葉の天ぷら
用意するもの
- 柿の若葉(適宜)
- てんぷら粉(適宜)
- 塩(適宜)
1.てんぷら粉を水で溶き、水気を拭いた柿の葉に衣をつけ、170度の油で揚げる
2.塩を振って食べる
新芽のころの葉には、栄養も豊富なので食すにはベストです。ほんのり甘くて、ちょっぴり苦みもあって美味しい天ぷらをぜひ味わってみてください。
柿の食べすぎに注意!カロリーは?一日何個食べていい?
からだに良くダイエットや美容にもいい柿ですが、食べすぎるとむしろからだに良くありません。
柿のカロリーは、1個あたりがおよそ150kcal前後、干し柿は1個当たり100kcal前後と比較的低カロリーですが、まったくカロリーがないわけではありません。そして、糖質も他のフルーツと比べて高めで、100g当たり生の甘柿は14.3g。1個(240g)で30gを超えることもあり、糖質制限中の方などは注意しなければいけません。
また、タンニンは鉄分と結びつく作用があるため、鉄分の吸収を妨げ、貧血の原因に。
そして、下痢止めの効果もあるのですが、過剰摂取すると便秘になることも。一方、便秘に効果的なペクチンは水溶性の食物繊維なので、食べ過ぎると人によっては胃腸に負担がかかることに。
適量は大きさにもよりますが1日に1~2個くらい。栄養が豊富な分、それだけ食べすぎにも注意してください。
美味しくて甘い柿を選ぶポイント!
それでは、美味しくて甘い柿の選び方について見ていきましょう。
品種にもよりますが、
- 柿を持った時にずっしりと重いもの
- オレンジ色にむらがなく均一に色づいているもの
- 皮にツヤがあるもの
- ヘタの形がキレイで果実に張り付いているもの
を選びましょう。
ヘタは重要なポイントで、4枚揃っており、なるべく緑が残っているものがいいです。ヘタの葉がめくれていると余計な水分を吸っていて、それだけ味も薄くなってしまうので注意してみてください。
甘柿と渋柿の見分け方は?
頂いたり家にある柿が、甘柿か渋柿かわからないときは、
- カットした時に黒いゴマがあるか
- 重量感があって四角い形かどうか
チェックしてみましょう。
柿を切ったときに見られる黒いゴマのような点は、不溶性タンニンです。そのため、渋味が口に溶けださない甘柿の可能性があります。
また、甘柿は一般的に重みがあって四角いものが多く、渋柿は縦長で先が尖っている形のものが多くなっています。
ただし、どちらも確実な方法ではないため、どうしても知りたいのであれば、少しかじってみて確かめましょう。もしかじってみて渋柿だった場合は、干し柿にするか、渋抜きをしておいしく食べてください。
柿についている白い粉は何?食べても大丈夫?
柿にはときどき白く粉をふいたようになっているものがありますが、果粉もしくはブルームといって果実が表皮を守るために自ら作り出すもの。
農薬などではなく、自然現象なので安心してください。完熟した果実によく見られるもので、付いていた方が良いものもあります。
柿の保存方法!日持ちはどれくらい?
柿はりんごなどと同じように収穫した後もエチレンガスというものを発生し、追熟が進んでいくフルーツです。そのため、買ってからそのままにしておくとすぐに柔らかくなってしまうため、すぐに食べないのであれば冷蔵保存してください。
そのとき、他の野菜や果物と置いておくと、一緒に熟してしまう=傷んでくるので注意しましょう。
また、柿はヘタで呼吸をしていて、そこから水分が蒸発していきます。ヘタが乾くと柔らかくなる性質があるので、柿をシャキシャキしたままの状態で長持ちさせるには、ヘタを乾燥させずに湿らせておき、ヘタ側を下にして保存することがポイントです。
常温保存 | 約5日 |
冷蔵保存 | 約2週間 |
冷凍保存 | 約2か月 |
乾燥保存 | 約6か月 |
常温保存のコツ
保存期間:約5日
ヘタが乾燥しないように下に向けて、1つずつ新聞紙に包み、ポリ袋に入れて冷暗所に置きましょう。まだ少し硬めの柿がおすすめです。熟してしまったものは、冷蔵保存してください。
冷蔵保存のコツ
保存期間:約2週間
熟した柿は常温ではなく冷蔵保存することで、熟すスピードを抑えることができます。
水で湿らせたキッチンペーパーやコットンなどを、ヘタの大きさにたたんで柿のヘタ部分にあてます。ヘタ部分を下にして、ポリ袋などに入れ、冷蔵庫に入れましょう。
ヘタを乾燥させないことで、シャキシャキしたまま保存することができます。柿は、エチレンガスが出て他の野菜やフルーツが熟すのを早めてしまうため、必ず袋に入れてください。
冷凍保存のコツ
保存期間:約2か月
柿は冷凍保存することで、シャーベットのような食感でいただくことができます。ただし、シャキシャキの柿は冷凍してもあまり食感が良くないので、熟して柔らかくなった柿を使うことをおすすめします。
丸ごと冷凍するときは、皮やヘタをつけたままできるだけ空気を抜いて保存袋に入れ、冷凍庫へ。食べる時は半解凍して、ヘタの部分を蓋の様に少し切り取り、スプーンなどですくって食べることができます。
カットするときは皮を剥き、タネもとってから保存袋に入れて冷凍します。
かなり熟している柿は、つぶしてペースト状にして保存するのがおすすめ。皮を剥いてタネをとった柿をミキサーにかけてペースト状にして、保存袋に平らに入れて冷凍します。
スムージーにしたり、煮詰めてジャムにするなど、お菓子作りにも使えます。
乾燥保存のコツ
保存期間:約6か月
柿の乾燥保存といえば干し柿です。そのままだと渋くて食べられない渋柿を乾燥させることで、渋味を抜いて保存食にした干し柿は、日本の伝統的なドライフルーツ。
干し柿にするときは渋柿が適しています。甘柿でも作ることはできますが、渋柿よりもみずみずしいのでカビやすく、干し柿にする前に傷んでしまうことがあります。
また、実は渋柿の方が糖度が高く、干し柿ならではの甘さが出るのは渋柿なのです。
甘柿は2日~1週間ほど干して水分を飛ばし、ほんのり甘いセミドライフルーツにするのがおすすめです。ただし、保存食にはならないので早めに食べきるようにしてください。
干し柿
用意するもの
- 渋柿(好きなだけ)
- ひも(柿を吊るせるだけ)
- 熱湯(適量)
1.ヘタをつけたまま皮を剥き、残した枝の付け根をひもで結ぶ。
2.柿の大きさの2倍以上の距離を空けて、次の柿を結びつける。
3.鍋に水を入れ、グラグラと沸騰した湯に柿を5秒間入れて引き上げる。
4.柿同士がぶつからないよう、風通しの良いところに吊り下げる。1週間位して外側が固くなったら、親指と人差し指を使って押すようにして軽くもむ。
5.1週間後くらいに今度は柿の中心まで揉み切り、好みの固さになるまで、1~1か月半ほど干したらできあがり。
干し柿に使うひもは、柿が吊るすことができればどんなひもでもかまいません。手に入りやすいのはビニールひもです。熱湯にくぐらせなくても作ることはできますが、カビが生えにくくなります。
2回目に中心まで揉むのは中が渋いことを防ぐため。揉むことで渋が速く抜け、早く甘くなります。
白い粉は、柿の糖分が結晶化したものなので食べても問題ありません。
お茶請けにしたり、刻んでお菓子作りに利用してみてください。お湯を注ぐと栄養が溶けだし、風邪の引き初めに効果的な飲み物になります。
セミドライフルーツにするときは、1センチ幅ほどのくし切りにして、ざるなどに並べて干しましょう。長期保存には向きませんが失敗が少なく、一週間ほどでできます。
柿を美味しく食べよう!おすすめの食べ方や珍しい食べ方は?
甘柿は、皮と果肉の間がもっとも甘くておいしい部分です。なるべく皮は薄く剥くようにして、気にならないようであれば、皮のついたまま丸ごとかぶりつくのがおすすめ。渋柿は皮を剥いてから食べてください。
よく熟れた柿はとろりと柔らかく、ゼリーのような食感を楽しむことができます。柿は生でそのまま食べるか、ヨーグルトに添えるなどが定番ですが、熱を加えて食べるのもおすすめです。
農薬が気になる方は
柿は害虫が付きやすいため、農薬を使われることが多いですが、表皮のみなので、水を張ったボウルに入れ、流水の中でこすり洗いし、皮を剥いて食べれば心配ありません。
渋柿を食べることはできる?自宅でできる渋抜きの方法
家で採れた渋柿や知人から渋柿をもらった場合などは、そのままで食べることができないので、干し柿にすることが多いですが、自宅でも渋抜きをすることができます。
十分熟してから収穫した渋柿を使って、以下の方法を試してみましょう。渋抜きをしたあとに加熱すると、再び渋くなることもあるので、過熱が必要な調理に使う場合は、甘柿を使ってください。
- 方法1
渋柿はさっと洗ってキレイにしたあと、ヘタをホワイトリカーに2~3回ほど浸し、キッチンペーパーで優しく拭き取る
ポリ袋に入れて口を結び、さらに密閉容器に入れて、冷暗所に1~2週間置いておく - 方法2
渋柿を3%の塩水の中に漬け、冷暗所に約3週間ほど置いておく - 方法3
渋柿とリンゴを同じポリ袋に入れて口を結び、冷暗所に約1週間置いておく
柿らしいシャキッとした食感も多少残しつつ渋を抜きたいのであれば、方法1がおすすめ。ホワイトリカーをお椀などに入れ、柿を逆さにしてヘタの部分をチョンチョンとつけるのがオーソドックスな方法ですが、刷毛などを使って塗っていくのも便利です。
ホワイトリカーがなければ、アルコール度数の高い30℃以上のお酒で代用できます。焼酎やブランデー、ウイスキーなどを使ってください。
柿は焼くと甘味&栄養価アップ?おいしい焼き柿を食べてみよう
柿は生のまま食べても美味しいですが、熱を加えるとさらにその甘味が増します。買ってきた柿が硬すぎたり、あまり甘くなかったときや、たまたま渋みが残ってしまった場合は、ぜひ焼いて食べてみましょう。
また、甘味だけではなくストレス軽減に効果のあるGABAや、血流を促進する働きのあるアミノ酸の一種、シトルリンという栄養素が、温めたり焼いたりすることで約2~3倍にも増えるということがわかっています。
そのため、安眠効果やストレス解消、そしてむくみ解消、冷え性改善、美肌、アンチエイジングを期待するのであれば、焼き柿にして食べるのがおすすめです。
焼き柿の作り方はとても簡単。ヘタのある頭の部分を切り落とし、切り口に十字に切り込みを入れた柿を、オーブンやトースターで、好みの焼き加減になるまで焼くだけ。だいたい10分ほどでできあがります。スプーンですくえるくらいの柔らかさを目安にしてみましょう。
コンロで網を使って焼いたり、串切りにして焼いても大丈夫です。
お好みでバターをのせて焼いたり、グラニュー糖を少し振りかけて焼いたり、バニラアイスやシロップ、シナモンなどを添えるとたちまち豪華なスイーツに。
スライスした柿を食パンにのせ、バターやシナモンを加えてトーストするなど、アレンジするのもおすすめです。
作り方簡単!珍しい柿のレシピ3選
それでは簡単に作れるちょっと変わった柿のレシピを3つご紹介します。柿を生でそのまま食べることに飽きてきたら、ぜひ試してみてください。
柿と生ハムとクリームチーズのサラダ
柿とチーズの組み合わせが想像できないかもしれませんが、柿のとろける甘さとチーズの塩気は抜群の組み合わせ。ワインや日本酒に合う、ちょっとしたおつまみになります。
作り方も簡単で、柿とクリームチーズを生ハムで巻き、オリーブオイル、胡椒をかければできあがり。モッツァレラチーズを使って柿のカプレーゼにしたり、バルサミコ酢をかけたサラダにしてもおいしくいただけます。
柿のきんぴら
きんぴらといえばごぼうが定番ですが、柿のほのかな甘味は塩味ともあいます。
柿を7~8ミリ角の棒状に切り、フライパンでごま油を熱し、柿を入れて炒めましょう。醤油、みりんで味付けし、三つ葉をいれて火を止めればできあがりです。
柿と大根のタイ風なます
柿の味に飽きたら、エスニックテイストにアレンジてみるのはいかがでしょうか。柿と大根にはストレス予防に効果のあるビタミンCが含まれているので、おすすめの組み合わせです。
柿と大根を表紙切りにしてボウルに合わせ、よく混ぜ、これにパクチーを加え、ナンプラー、レモン汁、砂糖で和えます。冷蔵庫で1~2時間ほど冷やせばできあがりです。
干し柿のアレンジレシピ
最後に、干し柿のアレンジレシピを3つご紹介します。干し柿もそのまま食べる人が多いですが、刻んでサラダに入れたりと色々アレンジが利く食材です。ここでは簡単に作れるアレンジレシピをご紹介しますので、一度試してみてください。
干し柿のクリームチーズサンド
干し柿の間にクリームチーズを入れるだけの、超簡単にできるお手軽レシピです。干し柿の優しい甘さとクリームチーズのミルク感が程よく溶け合います。
冷やして食べるとよりおいしくなりますので、時間のあるときは冷やしてから食べてください。
干し柿とリンゴとバナナのフルーツサラダ
干し柿刻んでレーズンのように使ってアクセントに。りんごとバナナを食べやすい大きさに切ったら、細かく刻んだ干し柿と加え、オリーブオイル、りんご酢、レモン汁をそれぞれ1:1:1で合わせ混ぜ、黒コショウをふればできあがり。
調味料の比率は味を見ながらお好みで変えてください。切って混ぜるだけなので、とても簡単。フルーツだけどサラダのような、不思議でおしゃれな一品です。
干し柿の天ぷら
とても珍しいですが、試してみたい干し柿の天ぷら。干し柿に薄力をまぶして天ぷらの衣をつけ、180度の油で衣がカリっとなるまで揚げればできあがりです。
干し柿の酸味や甘さが、天ぷらにするとまろやかになり、サクッとした衣ととろりとした果肉が絶妙な一品。デザートにもお酒のおつまみにもピッタリです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?古くから日本で食べられてる柿は、栄養豊富で健康・美容効果が高く、干し柿にすれば長く保存でき、葉っぱも利用できるため、昔から重宝されてきたフルーツです。
美味しくて柿を食べて、健康的に過ごしましょう。