フルーツといえばまず思い浮かぶものの中に、りんごは必ず入ってくるのではないでしょうか?
秋口になるとスーパーにはさまざまな品種のりんごが並び、私たちの目を楽しませてくれます。
生で食べるのはもちろん、アップルパイやりんごジャム、りんごジュースと、色々な加工品もあり、とても身近なりんご。
今回は、りんごはどんなフルーツなのか、歴史や種類、栄養価、保存方法から美味しい食べ方まで、詳しくご紹介します。
りんごはどんなフルーツ?
りんごは、バラ科リンゴ属の落葉小高樹の果実です。漢字では「林檎」とあらわします。
世界中で食べられているフルーツで、その品種数は世界で約15,000、日本で約2,000もあるといわれており、色大きさ味などはさまざま。
日本での主な生産地は、60%近い収穫量のシェアがある青森県を筆頭に、長野県、岩手県、山形県、秋田県など、冷涼な地域での栽培に適しているため、東北地方がメインとなっています。
時期や品種、サイズなどにもよりますがスーパーなどの店頭での相場は1玉100~200円ほど。保存しやすく日持ちもするので買いやすいフルーツです。
また、本来の旬は秋から冬にかけてですが、技術の進歩により現在は1年中食べることができるようになりました。CA貯蔵法という技術で、収穫時期をずらしているのではなく、収穫後のりんごの呼吸を抑え、鮮度を保ったまま長期保存しています。
りんごの歴史!日本で栽培されるようになったのは?
りんごは、中央アジアの山岳地帯やコーカサス地域が原産地とされており、そこから、ヨーロッパやアジア、そしてアメリカへと世界各国に広まりました。
いつから食べられていたのかはさまざまな説があり、ヨーロッパにおける栽培が盛んになった16~17世紀頃といわれることもあれば、スイス地方の先住民族の遺跡からりんごの化石が発見されていることから、約4000年前にりんごが栽培・食用されていたという説、また、トルコでは約8,000年前の炭化したりんごが発見されおり、新石器時代の頃からから栽培・食用されていた、という見方もあります。
このようにりんごは紀元前から存在していたとされる、非常に歴史の古いフルーツのため、アダムとイブの物語に出てくる「禁断の実」として登場したり、ニュートンが落ちるりんごを見て引力を発見するきっかけとなった話や、ウィリアム・テルという伝説の英雄が、弓で息子の頭にのせたりんごを射落とした話、アラビア民話に登場する万病の薬など、りんごにまつわる古今東西の伝説や神話は多くあります。
日本では、平安時代中頃に中国から持ち込まれたのが始まりとされていますが、当時は「和りんご」という小さな粒の野生種で、観賞用としてのりんごでした。
現在私たちが食べているようなりんごは「西洋りんご」といい、和りんごとはまったく別物なのですが、その西洋りんごが普及したのは明治時代。
明治4年(1871)にアメリカから75品種を輸入し、苗木を全国に配布したのです。そして、日本の気候風土や、消費者の嗜好にあわせて品種改良が行われ、今でも新品種が次々に開発されています。
りんごの品種!どんな種類のりんごがあるの?
数えきれないほどの品種があるりんごですが、日本にあるもののなかで、農林水産省に登録されている品種は253種で、そのうち品種登録が維持されているものは127種(2019年9月時点)。
りんごは8月頃から12月頃まで収穫され、収穫時期の早いものから順に、「極早生(ごくわせ)」、「早生(わせ)」、「中生(なかて)」、「晩生(おくて)」に分類されます。
品種別の収穫量では、「ふじ」が全体の50%以上を占め圧倒的に多く、続いて「つがる」約11%、「王林」約7.5%「ジョナゴールド」約7%となっています。
ここでは、出回り量が多くよく知られているりんごのうち、10種類についてご紹介します。
極早生(8月頃収穫)夏緑
夏緑(なつみどり)
青森県りんご試験場が「きたかみ」と「メク10」を交配して育成し、1983年に品種登録されたりんごです。りんごといえば赤いイメージですが、夏緑の果皮は緑黄色で淡い紅色のしまが入ります。重さは150~200g程。
青森県ではねぶた祭の期間(8月上旬)には売り出され、8月下旬のものが一番おいしいとされています。歯ざわり、舌触りがよく、ほど良い酸味と甘みが口の中に広がり、とても爽やかな味です。
早生(9月頃収穫)つがる・きおう
つがる
青森県りんご試験場が「ゴールデンデリシャス」と「紅玉」を交配して育成し、1975年に品種登録されたりんごです。主な産地は青森県。果皮は紅色の地に鮮やかな紅のしまが入ります。重さは300g前後。
昔は「咳払いすると落ちる」と嘆かれるほど、収穫前の落果が多いりんごでした。ジューシーでまろやかな甘味が魅力。弱い酸味が甘さを引き立て、シャキシャキとした食感があります。
きおう
岩手県園芸試験場が「王林」と「千秋」を交配して育成し、1995年に品種登録されたりんごです。黄色い王様をイメージした岩手県のオリジナル品種。果皮は黄色で、表面の一部が薄い赤色に染まることもあります。重さは300g前後。
ジューシーで酸味は少なく、甘味を強く感じ、風味がよく口当たりのよい食感を楽しむことができます。
中生(10月頃収穫)ジョナゴールド・紅玉・陸奥
ジョナゴールド
米国ニュージャージー州立農業試験場が「ゴールデンデリシャス」と「紅玉」を交配して育成し、1970年に秋田県果樹試験場が初導入しました。主な産地は岩手県、青森県。重さは350g前後。
果皮は黄色地に鮮やかな紅色で、表面に光沢があります。ジューシーでほどよい酸味があるのが特徴。コクのあるまろやかな酸味を楽しむことができます。
紅玉(こうぎょく)
米国ニューヨーク州原産の自然交雑実生で、日本には1871年に開拓使が導入。基幹品種としておよそ100年にわたってりんご産業を支えてきた品種です。主産地は青森県。紅玉のほかに、千成(せんなり)、満紅(まんこう)とも呼ばれます。重さは200g前後。
果皮は鮮やかな濃い紅色で、香りが高く、甘酸っぱいのが特徴的。煮崩れしにくいので加熱調理にも向いています。ジューシーで爽やかな味を楽しむことができます。
陸奥(むつ)
青森県りんご試験場が「ゴールデンデリシャス」と「印度」を交配して育成し、1949年に品種登録されたりんご。重さは500g前後もある大型種。
無袋と有袋で見た目が大きく変わる品種です。袋をかけずに栽培(無袋)したサン陸奥は、元々赤い色素がほとんどないため、着色せず黄緑色のまま熟します。酸味が少なく、甘味と酸味が適度にあります。
一方、袋をかけて栽培(有袋)し、収穫の1か月ほど前に袋を外して日光をあてた陸奥は、鮮やかな紅色に着色します。独特の香りがあり、無袋より酸味があり、甘酸っぱいのが特徴的。
晩生(11月頃以降収穫)ふじ・シナノゴールド・王林・金星
ふじ
現在国内生産量1位の、もっとも定番の品種。2001年には品種別の生産量で世界一にもなりました。農林省園芸試験場東北支場が「国光(こっこう)」と「デリシャス」を交配して育成し、1962年に日本一のりんごになってほしいという思いを込め、富士山にちなんで命名、登録。主な産地は青森県。重さは350g前後。
着色や色づきを良くするために、袋をかけて(有袋)で栽培されたふじは、褐紅色に鮮やかな紅色のしまが入ります。ジューシーで甘味と酸味が絶妙です。しゃきっとした歯ごたえもあり、甘味・酸味・食感のバランスが良いりんごです。
旬は11~12月頃ですが、貯蔵性も高く、収穫後CA冷蔵で保存されたものは、年明けの4月頃から出荷され、夏頃まで流通します。
一方、ふじを袋にかけず(無袋)に栽培したサンふじは、日光を直接浴びているので見た目や貯蔵性がふじよりも劣りますが、甘味が強いです。果皮の色もふじよりも濃く、表皮はややまだらになっています。
シナノゴールド
長野県果樹試験場が「ゴールデンデリシャス」と「千秋」を交配して育成し、1999年品種登録されました。主な産地は青森県、長野県、岩手県。重さは350g前後。
果皮は黄色で、果実はかため。香り豊かで果汁もたっぷり。甘味の中にあるしっかりとした酸味と、サクサクとした食感を楽しむことができます。貯蔵性にも優れており、翌年の6月頃まで店頭に並びます。
王林(おうりん)
福島県桑折町の大槻只之助が「ゴールデンデリシャス」と「印度」を交配して育成し、1952年に命名されました。品種登録はされていませんが、「ふじ」や「つがる」に次ぐ生産量を誇る品種です。主な産地は青森県、長野県。重さは300g前後。
黄色系品種の代表格で、果皮は緑黄色。表面に茶色い果点があるのが特徴的。酸味が少な目で甘味は強く、梨に近いサックっとした食感が楽しめます。皮が薄く、丸かじりがしやすいりんごです。貯蔵性が高く、翌年4月頃まで店頭に並びます。
金星(きんせい)
青森県弘前市の佐藤肇が「ゴールデンデリシャス」と「国光」を交配して育成し、1972年に品種登録されました。主な産地は青森県。果皮は無袋が緑黄色、有袋が黄金色ですが、有袋栽培の袋を一部だけ裂き、その部分だけ日光に当てることでわざと三日月形に赤い色をつける「三日月金星」というものもあります。重さは350g前後。
酸味が弱めで甘味が強いのが特徴的。香りもよく、果肉は適度な硬さがあるため爽やかな歯ざわりを楽しむことができます。貯蔵性が高く、翌年4月頃まで店頭に並びます。
有袋(ゆうたい)栽培と無袋(むたい)栽培について
もともとりんごは無袋で栽培が行われていましたが、害虫からりんごを守るために袋をかぶせるようになりました。
すると、害虫からりんごを守ることができる上に、さらにりんごの皮がなめらかになり、見た目がよくなるという、思わぬ結果をもたらしたため、有袋りんごの栽培が広く普及するようになりました。
ただ、それぞれに良い点はあり、無袋で育てられたりんごは、有袋りんごより貯蔵性と見た目は劣りますが、日光を直接浴びることから糖度が高く、香りに優れているため、甘さを重視するなら無袋りんごがおすすめです。また、品種によっては蜜が入ります。
代表的な品種に「サンふじ」「サンつがる」などがあり、日光を浴びていることから品種名の頭に「サン」をつけていることが多いです。
一方で、有袋りんごは皮が薄いのでそのまま食べやすく、貯蔵もできるといったメリットがあります。4月以降に出回るりんごのほとんどは有袋りんごで、長くりんごが楽しめるのも有袋りんごのおかげといえます。
果肉も赤いりんごがあるの?
皮を剥いたりんごは、どれも淡いクリーム色ですが、近年「紅の夢(くれないのゆめ)」「ルビースイート」「ローズパール」など、果肉が赤色や桃色のりんごが生まれています。
これらは赤い皮に含まれているアントシアニンが果肉にもふくまれているため。彩り鮮やかなことから、サラダやスイーツ、カクテルなどにピッタリ。各地やレストランなどでも重宝されています。
希少な高級りんご3種紹介
さまざまなりんごをご紹介しましたが、次は希少な高級りんごについて見てみましょう。
同じ品種でも厳しい基準を合格したブランドりんごや、手に入れること自体が難しい希少なりんごなど、一度は食べてみたいりんご3種をご紹介します。
江刺りんご
岩手県奥州市江刺で作られるブランドりんご。品種名ではなく、江刺では「江刺りんご」という名前で、サンふじ、つがる、シナノゴールド、王林など、さまざまな品種のりんごを栽培しています。その中でもオリジナル品種である「紅ロマン」と収穫量の多い「サンふじ」が代表的な品種です。
江刺りんごは、味重視のグルメなりんごに育てるため、わい化栽培と呼ばれる、りんごの樹を低くして栽培する方法に加え、無袋栽培を取り入れています。
非常に手間はかかるものの、日光をふんだんに浴びることでりんごの味わいは抜群で、ハズレ個体が無く、一度食べた人からは絶大な支持を得ており、高級りんごしての地位を築いています。
2017年に盛岡市中央卸売市場で行われた競りでは、一箱130万円(1玉4万5円以上)の値が付いたことでも話題になりました。
りんごとしては高価ですが、1玉300円~350円前後と、贈り物やちょっとした贅沢に食べる分にはじゅうぶん買える値段帯で流通しています。
高徳(こうとく)
1985年に品種登録された、甘みの強い蜜がたくさん詰まった美味しいりんごです。味の良い優れたりんごですが、リンゴの中でも特に栽培が難しいことから年々生産者が減っています。
さらに、小玉で収穫されることが多いため、良質なものがなかなか市場に出回らず、「幻のりんご」と呼ばれるほどに。
そして、消滅寸前にあった高徳を、青森県津軽石川農協がブランド化したものが「こみつ」。究極の蜜入りりんごとして知られ、多いものだと蜜の割合が80%にも。
いずれにせよ希少なりんごのため、1個1,000円前後と高価ですが、とにかく手に入れることが難しいので、ぜひ機会があれば食べてみてはいかがでしょうか。
飛馬(ひうま)ふじ
青森県弘前市にある、JA相馬村のブランドりんご。品種としては一般的な「サンふじ」ですが、生産者とJA相馬村が協力しながら栽培方法を工夫し、改良を重ねてきたりんごです。
土づくりからこだわり、生産者を限定して園地を指定し、厳しい基準を独自に設けて栽培しています。その中でも糖度14度以上で色づきが良く、形も整った見た目の綺麗な高品質なりんごだけが「飛馬ふじ」となります。
しっかりとした甘みと酸味のバランスが絶妙で、ジューシーでシャキっとした食感に、コクのある甘みが楽しめます。
等級の高いものは1玉600円を超え、なかなか手に入らない高級りんごですが、ぜひ一度食べてみたいりんごのひとつといえます。
りんごの栄養価!医者いらずは本当!?
「一日一個のりんごは医者を遠ざける」というイギリスの有名なことわざがあるように、りんごはとても栄養豊富なフルーツです。
りんごに含まれている主な栄養素には、
- リンゴポリフェノール・・・生活習慣病予防、アレルギー抑制、美白効果
- ビタミンC・・・肌荒れ改善、美白効果
- ペクチン・・・便秘改善
- セルロース・・・腸内環境改善
- カリウム・・・高血圧予防
- リンゴ酸・・・疲労回復、肩こり・腰痛防止
などがあり、健康だけでなく、美容、ダイエット効果も期待できるいいことずくめのフルーツなです。
ダイエットや美容にも!りんごポリフェノールの力
りんごには、100種類以上の「ポリフェノール」が含まれており、その総称として「りんごポリフェノール」と呼ばれています。
一つの果物にこれだけ多くのポリフェノールが含まれているものは珍しく、複数のポリフェノールを持つ事により抗酸化作用が高くなります。
そして、りんごに含まれるポリフェノールのうち、約6割を占めているのがプロシアニジン。
他のポリフェノールに比べて非常に抗酸化作用が高く、老化や、がん、生活習慣病などの予防に効果があるとされています。さらに、しみやしわの大敵であるメラニン色素の生成を抑える働きも。
最近では、体内への脂肪の蓄積を強く抑制する働きがあることが明らかになり、肥満予防効果に一層期待が高まっています。
他にも、育毛、虫歯予防、消臭作用など、健康や美容を後押しし、さまざまな不調をケアしてくれるのです。
りんごは皮ごと食べよう
栄養豊富なりんごですが、皮には果実全体の栄養の1/3の栄養が含まれているとされています。特に取り入れたいリンゴポリフェノールは、果肉より皮の方が4倍も多く含まれているのです。
皮が気にならないときは、ぜひ皮ごと食べてください。
リンゴのカロリーは?
気になるリンゴのカロリーですが、りんご100gでおよそ54kcal、一般的なMサイズのりんご1玉(255g)あたり138kcalほど。
これはご飯一杯分のカロリーの半分ほどになります。
同じ量のグレープフルーツや桃より少しカロリーが高いフルーツですが、ダイエットのサポートに役立つ栄養素がたくさん含まれています。
また、噛みごたえがあり、食べた後の満足感も得られやすいフルーツなので、ダイエット中にもぴったりのフルーツです。
美味しいりんごを選ぶポイント!
では、美味しいリンゴを選ぶポイントについてご紹介します。
品種によって多少違いはありますが、
- 傷がなく、表面の色が均一に赤くなっているもの
- 皮にハリとツヤがある
- 実が詰まっていて重量感がある
- 大きくバランスのいい形をしている
- ヘタの付け根が形よく深くくぼんでいるもの
- 指先で軽くはじいたときに澄んだ高い音がするもの
- ヘタが太く立派なもの
このようなりんごを選びましょう。
りんごはおしり側を見ると成熟度がわかります。おしり側が黄色~オレンジ色をしているものが熟したりんごです。蜜が入ると透けるように見えることもあります。
一方、若いりんごは、まわりは赤くなっていても、おしりの中央はまだ緑色をしています。
そのため、すぐに食べるなら熟したものを、しばらく置いておく予定なら若いものを選びましょう。ちなみに、ヘタの周辺が黄色くなっているのは熟しすぎているりんごです。
また、皮がワックスをかけたように光沢があるのは、りんごから出る天然成分のため。ツヤ出しのために塗られた人工的なものではないので安心してください。油あがりと呼ばれ、完熟したしるしです。
蜜入りのりんご!みつの正体は?選ぶポイントは?
りんごのおいしさの基準のひとつともいわれる蜜入りのりんごですが、その「みつ」とは、太陽を浴びて、葉の光合成でできた成分が実にたまったもの。
りんごの葉が光合成してできる「ソルビトール」という甘味成分は、りんごの果実に流れていき、その中で果糖などの「糖」になるのですが、やがてりんごが完熟期になると、りんごの細胞が「糖」でいっぱいになり、これ以上甘味成分が入らない状態に。
すると、細胞に入れなくなった甘味成分が細胞の間にあふれ出し、蜜入りのりんごとなるのです。
りんごの蜜には自然の甘味成分が多く含まれているため、爽やかな甘味が増し、よりおいしく感じるのです。
蜜入りのりんごはすべての品種に入るわけではなく、有名なのは「サンふじ」や「スターキング」、「高徳」など。光センサーを使って内部の状態を確認しているお店もありますが、たとえりんごのプロでも外見から蜜があるかは見分けることができません。
ただ、りんごに蜜が入っているのは「完熟」しているということなので、
- 同じ大きさのものでも重い方のりんご
- お尻が広くてオレンジ色または赤いもの
- ツルが太くてしっかりしているりんご
を選ぶようにしてみましょう。
また、蜜入りのりんごはそれだけ完熟しきっているということなので、あまり日持ちはしません。新鮮なうちに早めに食べきるようにしてください。
りんごの保存方法!日持ちはどれくらい?
りんごは涼しい時期であれば常温保存が可能です。保存するときのポイントは、とにかく乾燥を避けること。りんごは乾燥に弱いフルーツなので、水分が失われると味も食感も落ちてしまいます。
また、りんごは特殊なエチレンガスというのを発生させるのですが、野菜や果物を熟成させる効果があります。そのため、一緒に置いておくと早く傷んでしまうので注意が必要です。
同じりんご同士でもお互いのガスで熟成が早まってしまうので、個別に袋に入れて保存したほうが長持ちします。
常温保存 | 約2週間 |
冷蔵保存 | 約1か月 |
冷凍保存 | 約1か月 |
乾燥保存 | 約2週間~1か月 |
常温保存のコツ
保存期間:約2週間
冬なら食べるまでの間常温保存することができます。乾燥を防ぐため、できれば1個ずつ新聞紙などで包み、風通しの良い冷暗所へ置いておきましょう。
暖房のきいた室内に放置すると早く傷んでしまうので注意しましょう。
冷蔵保存のコツ
保存期間:約1か月
冷蔵保存するときも、乾燥を防ぐため1個ずつ新聞紙などにつつみ、ポリ袋に入れ、口をしっかり結んで野菜室へ。りんごから出るエチレンガスが他の果実や野菜を熟成させてしまうので、他のものとは分けて置くようにしてください。
エチレンガスはリンゴのおしりを上に向けておくと多く発生するため、おしり側は下に向けておきましょう。
特に、柿、キウイ、未熟なトマト、キュウリ、さやいんげん、パセリ、ブロッコリーはエチレンガスに弱く、傷みやすいので注意してください。
冷凍保存のコツ
保存期間:約1か月
りんごを洗って水分をふきとり、1個ずつアルミホイルに包み、保存袋に入れて冷凍しましょう。食べるときは5分ほど自然界として切り分けると食べやすいです。皮ごと食べるかどうかはお好みで。
冷凍すると、りんごならではのシャキっとした食感はなくなりますが、その代わり甘さが増して、スムージーやスイーツに利用しやすくなります。
また、すりおろして冷凍すると、煮物などの料理の隠し味にも使えます。皮を剥いてタネを取り、すりおろしたものにレモン汁を加えて、保存袋に入れて冷凍しましょう。
乾燥保存のコツ
保存期間:約2週間~1か月
りんごはドライフルーツにするのもおすすめです。乾燥させることでうまみが凝縮され、栄養価も3~10倍にも上がります。
噛むと優しい甘味が口の中に広がり、やみつきに。りんごが旬を迎える秋から冬は、干しりんご作りに最適な季節です。スタンダードな天日干しのほか、オーブンや電子レンジで作る方法あるので、ぜひ試してみてください。
用意するもの
- リンゴ(適量)
- 塩(つけ水の1%)
下準備
1.リンゴは洗って切り、変色防止のため塩水に5分ほどつけ、キッチンペーパで水けを取る。(切り方は丸ごと水平にスライス、くし切り、いちょう切りにするなどお好みの形にしてください。)
天日干しの場合
2.ザルや干し野菜用のネットなどにスライスしたりんごを重ならないように並べ、日の当たる風通しのいい場所に置く。
3.途中何度か裏返し、天日に2日~2週間干し、好みの乾き具合になったらできあがり。(天気の悪い日は室内に入れておきましょう。)
オーブンで作る場合
2.オーブンの天板にクッキングシートを敷き、スライスしたりんごを重ならないように並べる。
3.100度で60分以上過熱する。一度取り出してりんごを裏返し、さらに30分加熱。様子を見ながら好みの乾き具合になるよう調節する。(温度を高くしすぎると焦げてしまうので注意しましょう)
4.オーブンから取り出し、天板のまま冷ませばできあがり。
電子レンジで作る場合
2.耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、スライスしたりんごを重ならないように並べる。
3.600wで60秒加熱したら取り出し、新しくキッチンペーパーを敷きなおしてりんごを裏返して並べ、再び60秒加熱する。
4.3の工程を繰り返し、好みの乾き具合になったらできあがり。
加工保存
他にも、リンゴのシロップ煮、りんごのたれ、ドレッシングなど加工して保存することができます。お好みの方法を見つけてりんごを楽しんでください。
りんごのエチレンガスを利用する方法
りんごの発生させるエチレンガスは、他の食材の劣化を早めるやっかいなものですが、熟成を早める作用を上手に利用する方法もあります。
ジャガイモとりんご
ジャガイモは発芽すると、ソラニンという毒性物質が出てしまい、からだに良くありません。
ところが、ジャガイモとりんごを一緒に置いておくと、りんごのエチレンガスのおかげでジャガイモの発芽を抑えることができるのです。
ケーキを長持ちさせる
ケーキは基本的にその日のうちに食べるものですが、余ってしまって翌日に食べたいときなどは、カットしたりんごををケーキの箱に入れておきましょう。
すると、翌日になると乾燥してしまうケーキですが、パサつかずにしっとりのまま食べることができます。
フルーツの追熟に
食材を熟成させるのを利用して、まだ熟していないフルーツなどを追熟させることができます。
キウイフルーツ、西洋梨、アボガドなどを購入したけど、まだ熟れてなくて固いときは、りんごと一緒にポリ袋などに入れておくと、追熟してくれるのでちょうどいい食べごろの状態にしてくれます。
りんごが傷むとどうなるの?
りんごはフルーツの中では比較的日持ちのする方ですが、かといって何か月ももつわけではありません。
りんごが傷んでくると、
- カビが生える
- ブヨブヨに柔らかくなっている
- 中身がパサパサに乾燥している
- 切ると異臭や悪臭がする
- 皮が黒や茶色に変色している
といった状態になります。このようなりんごを見つけたときは、りんごが腐ってきていると判断できるので、食べずに捨てるようにしましょう。
また、外側には何も変化がなく、切ると中身が茶色く変色していることがあります。これはりんごを切ってしばらく置いておくと茶色くなるのと同じで、酸化してしまったために起こる現象なのですが、色以外の変化がない場合、食べることはできます。
ですが、味や栄養価は格段に落ちている状態なので、そのまま食べるよりジャムなどに加工して使う方がおすすめです。
りんごを美味しく食べるには?効果アップの組み合わせや変わった食べ方も!
それでは早速りんごを食べてみましょう。一番おすすめなのはやはり、生のりんごを皮つきで丸かじりすることです。
りんごポリフェノールやペクチンは皮と実の間に多く含まれているので、栄養を余すことなく取り入れることができます。
また、丸かじりすることで歯肉も丈夫に。シャキッと歯ごたえのあるりんごは、よく噛むことで唾液の分泌もよくなり、虫歯や歯肉炎などのケアにも〇。
丸かじりが難しいときは、輪切りにして食べてください。好きな厚さに水平にスライスして、芯の部分は取り除いて食べます。簡単で食べやすいおすすめの食べ方です。
農薬が気になる方は
りんごは軽く水で洗い、水けを拭き取って、そのまま食べたり調理に使えばいいですが、農薬が気になるという方は、水を張ったボウルに入れて5分ほど水を流し、スポンジでていねいにこすり洗いしてください。
それでも心配な方は、生で食べるときは皮をむいて食べるようにしましょう。
りんごの変色を防止するには?
りんごは切ったまま放置すると、たちまち茶色く変色してしまいます。
これは、りんごに含まれているポリフェノールと、ポリフェノール酸化酵素という2つの成分が空気に触れることにより、酸化してしまうことが原因です。
りんごが茶色く変色してしまっても食感や味に影響はないですが、お弁当に入れるなど、見た目の面で変色させたくないときは、以下のような方法で防ぐことができます。
- 塩水に2~3分つける・・・2カップ(400cc)の水に塩ひとつまみ(1g)
- 砂糖水に5~10分つける・・・2カップの水に砂糖大さじ2杯
- レモン水に2~3分つける・・・2カップの水にレモン汁小さじ2杯
- はちみつを入れた水につける・・・2カップの水にはちみつ大さじ4杯
- 炭酸水に5分ほどつける
いずれもポリフェノール酸化酵素のはたらきを抑えることによって、酸化を防ぐことができます。定番の塩水やレモン水はつけすぎると味がしょっぱくなったり、酸っぱくなってしまうので注意してください。
人気の焼きりんご!美味しい上にダイエット効果もアップ!?
りんごは火を通してもおいしく、焼くことでさらに甘味や風味の増すフルーツです。生で食べるのとはまた違った食感が楽しめる上、火を通すことでダイエットに効果的なペクチンが約9倍にも増え、からだへの吸収率も高まるのです。
りんごだけ用意して、アルミホイルなどで包んでトースターやグリルで焼いたり、ラップをかけて電子レンジでチンしたり、フライパンで焼くなど、火を通せばできるのでとても簡単です。焼くときも、丸ごと焼いたり、スライスして焼くなど、お好みでOK。
また、皮が苦手な方でも焼きりんごにすると食べやすくなるのでおすすめです。
ここでは、少し贅沢な丸ごと焼きりんごのレシピをご紹介します。お菓子作りが苦手な方でも簡単に作れるのでぜひ試してみてください。
用意するもの
- りんご(1個)
- はちみつ(大さじ2)
- 有塩バター(大さじ1)
- シナモンパウダー(少々)
1.オーブンは220度に予熱しておく。
2.リンゴをよく洗い、上の部分を1センチほどきり、スプーンで芯を2/3ほどくりぬき、くりぬいた部分にはちみつとバターを入れる。
3.予熱したオーブンで15分焼く。
4.最後にシナモンパウダーをかけてできあがり。
バターが香ばしく、はちみつとシナモンの甘い香りが漂う焼きりんごは、一度食べるとやみつきになること間違いなし。できた焼きりんごにアイスクリームをのせれば、パーティーでも出せるような豪華なスイーツに。
バターの代わりにオリーブオイルなどの好きなオイルを入れたり、ラム酒を加えたりと、自分好みの味にアレンジもできます。
風邪の時はすりりんご
風邪をひいたときに食べるものといえば、おかゆや、すりりんごを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
りんごは腸の機能を改善する効果があるため、風邪になると起こりやすい下痢や消化不良によいとされています。
また、りんごに豊富に含まれるリンゴ酸には炎症を抑える効果があり、のどの粘膜を保護し、咳を止める効果もあるため、風邪をひいた時にすりりんごを食べるというのはとても理にかなっているのです。
のどに異変を感じるなと思ったら、すぐにすりりんごを食べましょう。すりおろしたりんごにレモン汁を少し加えると、変色を防ぐことができます。
りんごの効果をさらにアップさせる食べ方
色んな食べ方ができるりんごですが、組み合わせることで相乗効果が期待できる組み合わせを3種類ご紹介します。
りんごを食べるときはぜひ意識してみてください。
ヨーグルトと食べて腸内環境を整える
ヨーグルトの乳酸菌は腸内環境を改善する働きがありますが、りんごに含まれる水溶性食物繊維のペクチンは、乳酸菌のエサとして活性化させるため、さらに効果がアップするおすすめの組み合わせです。
腸内環境は、健康面だけでなく、精神面にも影響を与えるといわれており、腸内環境が良好だとメンタルの安定にもつながります。
また、肌の状態とも深く関わっているので、りんごヨーグルトを食べることで便秘などが改善され、美肌にも効果が。りんごヨーグルトで腸から健康になりましょう。
豚肉と食べて高血圧予防
りんごと豚肉は相性の良い組み合わせです。りんごのカリウムは血液を下げ、豚肉のたんぱく質は血管をしなやかに保ちます。
別々で食べてもいいですが、りんごはお肉を柔らかくしてくれるので、一緒に調理するのもおすすめです。
すりりんごをそのままお肉に漬けこんだり、漬けダレがあるときはそこに加えて漬けこみましょう。形を少し残しておくと、食感のアクセントにも。
また、ハンバーグやステーキのソースに加えると、華やかな香りを楽しむことができます。
老化防止と花粉症にはトマトと一緒に
りんごはポリフェノール、トマトにはリコピンが豊富含まれています。どちらにも抗酸化作用があり、老化防止にダブルの効果が期待できます。また、免疫力の低下などから起こる花粉症にも効果的。
りんごもトマトも、皮の部分に食物繊維や栄養が多く含まれているので、どちらも皮ごと食べるのがベスト。皮をむかずにサラダにしたり、そのまま新鮮なジュースやスムージーにすると効率よく取り入れることができます。
りんごを使った珍しいレシピ4選
それでは最後に、りんごを使った珍しいレシピを4つご紹介します。
すりおろしりんごの葛湯
寒い日にぴったりのレシピです。のどが痛いと思ったときに飲むのもおすすめ。
用意するもの
- りんご(1個)
- 葛粉(大さじ1)
- 水(100cc)
1.りんご半分を厚さ1センチほどのいちょう切りにして、半分はすりおろす。
2.いちょう切りのりんごと水を鍋に入れ、りんごに透明感が出るまで煮る。
3.葛粉を水大さじ2(分量外)で溶いて鍋に入れ、3分ほど煮て、ふつふつしてきたら、すりおろしたりんごを入れ、あたたまったらできあがり
りんごソース
ポークソテーなどにかけて食べます。冷凍すれば2か月ほど保存ができるので便利です。
用意するもの
- りんご(半分)
- 玉ねぎ(1/3個)
- 白ワイン(30cc)
- みりん(30cc)
- 醤油(20cc)
- ショウガ1かけ
1.玉ねぎはすりおろし、鍋でひと煮たちさせる
2.りんごはミリのくし切りにして、ショウガはみじん切りにする
3.1の鍋にすべての材料を入れ、弱火でゆっくりとろみがつくまで20分ほど炒めればできあがり
りんごと鮭のオーブン焼き
意外と合うのがりんごと魚の組み合わせです。りんごと一緒に食べることでスタミナアップの効果もあります。
用意するもの
- 生鮭(大1切れ)
- りんご(1個)
- 醤油(適量)
- 塩(少々)
- レモン汁(0.5g)
- 白ワイン(1.5g)
1.生鮭に塩を振り、10分ほど置いておく。
2.りんご半分を皮つきのまますりおろし、醤油とあわせ、1の鮭になじませ30分ほど下味をつける
3.残り半分のりんごは厚さ3ミリほどのいちょう切りにして鍋に入れ、レモン汁と白ワインを入れて煮る。
4.オーブンに2の鮭を入れて180度で10分焼く。3のりんごをのせ、さらに5~8分焼いてできあがり。
肉巻きリンゴ
もち、チーズ、キムチも一緒に包んだ大きな肉巻きリンゴです。ダイナミックにほおばってください。
用意するもの
- りんご(1個)
- 豚バラ肉(150g)
- 切り餅(0.5個)
- スライスチーズ(2枚)
- キムチ(大さじ1)
- サラダ油(適宜)
- 塩コショウ(少々)
1.厚さ5ミリに横にスライスしたりんごを、油で軽くソテーする
2.もちは薄切りにし、スライスチーズ、みじん切りしたキムチをソテーしたりんごにのせる
3.2を塩コショウした豚バラ肉でくるみ、フライパンで豚肉、もちに火が通るまで両面を焼く。
まとめ
いかがでしたでしょうか?りんごは世界中で食べられている、栄養価豊富なフルーツ。そのなかでも、日本のりんごは外国品種と比べて「味の芸術品」と呼ばれています。
それは、日本人は目でりんごを食べるといわれるほど、味だけではなく、色や形も優れたりんごが次々と開発されているからです。
それも、絶え間ない品種改良と、りんご農家さんの努力と情熱の賜物によるもの。そんな世界に誇れる日本の素晴らしいりんごを食べて、より健康な毎日を送ってくださいね。